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専門家が解説!サーモスタット混合水栓の仕組み
多くのご家庭で採用されているサーモスタット混合水栓は、お湯と水の量を自動で調節し、設定した温度のお湯を安定して供給してくれる非常に便利な装置です。しかし、その便利な機能ゆえに構造はやや複雑で、「シャワーが出ない、カランは出る」といったトラブルの原因となることもあります。この水栓の心臓部と言えるのが「サーモスタットカートリッジ」と「開閉バルブ」です。サーモスタットカートリッジは、温度を感知する形状記憶合金やバイメタルを内蔵しており、給湯温度や水圧が変動しても、設定温度を保つようにお湯と水の混合比率を瞬時に調整します。一方、開閉バルブは、ハンドルの操作に応じて全体の流量を調節したり、シャワーとカランへの水の流れを切り替えたりする役割を担います。シャワー側からのみ水が出ないという現象は、この開閉バルブ、特にシャワーとカランを切り替える部分の不具合が原因であることが多いです。長年の使用で内部のパッキンが劣化したり、ゴミが詰まったり、可動部が摩耗したりすることで、切り替えが正常に行えなくなるのです。また、サーモスタットカートリッジ自体が故障すると、温度調節がうまくいかなくなり、極端に熱いお湯や冷たい水しか出なくなったり、シャワー側への給湯が不安定になったりすることもあります。カランからは正常に水が出る場合、大元の給水・給湯管には問題がないと判断できるため、原因は水栓本体の内部にあると絞り込めます。このように、サーモスタット混合水栓のトラブルは、その精密な仕組みに起因することが少なくありません。構造を少しでも理解しておくと、いざという時に慌てず、的確な判断ができるようになるでしょう。