樹脂管が普及した現在でも、その優れた耐久性や特性から金属製の水道配管は重要な役割を果たしています。金属管の最高峰とも言えるのが「ステンレス鋼管」です。その名の通り、極めて錆びにくく、腐食や衝撃にも強いため、非常に長い耐用年数を誇ります。また、衛生的で水に金属成分が溶け出しにくいため、クリーンな水を供給できるという大きなメリットがあります。ただし、材料費や加工にかかる施工費が高価であるため、主に建物の主管など、特に高い耐久性が求められる箇所で使用されることが多いです。次に、「銅管」は優れた熱伝導率を持つため、特に給湯配管に適しています。また、銅イオンの持つ抗菌作用により、管内で細菌が繁殖しにくいという衛生的な利点もあります。柔軟性があり曲げ加工がしやすいのも特徴です。そして、かつて主流だった「鋼管(鉄管)」の弱点であった錆びやすさを克服したのが「硬質塩化ビニルライニング鋼管」です。これは鋼管の内側を塩化ビニル樹脂でコーティングしたもので、鋼管の持つ強度と樹脂の耐食性を両立させており、現在でも広く利用されています。水道配管は、きれいな水を供給するための「給水・給湯管」と、使用した水を排出するための「排水管」という二つの大きな役割に分かれており、それぞれに求められる性能が異なるため、使われる管の種類も変わってきます。まず、水道メーターから蛇口まで、圧力がかかった状態で水を運ぶ給水管には、その圧力に耐えられる強度が必要です。現在、戸建て住宅では耐衝撃性に優れた「HIVP管(耐衝撃性塩ビ管)」や、柔軟で取り回しがしやすい「架橋ポリエチレン管」「ポリブデン管」などが主流です。お湯を運ぶ給湯管には、強度に加えて高い耐熱性が求められるため、「HTVP管(耐熱性塩ビ管)」や、銅管、架橋ポリエチレン管、ポリブデン管などが使用されます。一方、キッチンや浴室、トイレなどから水を排出する排水管は、給水管ほど高い水圧はかかりませんが、油や洗剤、汚物など様々なものが流れるため、耐食性や内面の滑らかさが重要です。これには、主に「VU管」や「VP管」といった排水用の塩化ビニル管が用いられます。このように、水の流れの入口から出口まで、それぞれの役割と条件に最適な材質の配管が選定され、私たちの快適な水環境を支えています。
耐久性に優れる金属管の種類と特徴